知らなかったじゃ済まされない登録商標の威力~その2~

外国出願も訴訟もワンストップで

社長「会社名を〇〇〇株式会社にしよう!」

専務「はい、では私が代理で登記手続きをしておきましょう。ただですね、一口知識で知ってるんですけど、車のトヨタは、『トヨタ株式会社』も『トヨタ』も登録商標にしているんですよ。だから、むやみに他の会社は『トヨタ』がついたものを使えないようなんです。当社の場合も『〇〇〇株式会社』と『◯◯◯』」を調べておきましょうか?」

社長「お前は意外に詳しいな!じゃあ、調べておいてくれ。」

専務「かしこまりました。では、特許事務所に行ってきます。」

社長「特許事務所だと?そこでなんで商標のことがわかるんだ?特許の事務所だろう。」

専務「まあ、知っている社長さんと知らない社長さんがいますが。いずれにしても行きます。調査が済んだら領収書を発行してもらえば良いですか?」

社長「ちょっと待ってくれ!費用がかかるのか。」

専務「ちゃんと調査してもらうためには、有料のところが良いのではないですか?」

社長「なんとか無料にできないのかね。」

翌日

専務「社長、自宅で息子に調べてもらいましたよ。周りの友達などに聞きまくって、無料サイトを教えてもらい、そこで調べたようですよ。」

 

社長「お前の息子さんもなかなか頼りになるな。一度食事にでも誘いたいものだ。それで、調査結果はどうだったんだ?」

専務「朗報です。ありませんでした!」

社長「そりゃそうだろう。俺が練りに練って作った社名なんだから当然だろう! 幸先いいな! わっ、はっ、はっ!!」

社長「早速、この社名で登記しよう!」

専務「かしこまりました。それでは、司法書士さんにお願いします。」

<10日後>

司法書士さんが確認書類を持参して会社に訪れ、登記完了の報告をする。

登記手続きから数年後

 

専務「社長!いきなり結構有名な同業の△△△株式会社から商標権を侵害しているという警告状が来ました。当社が使用している〇〇〇が◎〇〇というサービスに似ているというのです。△△△株式会社は、◎〇〇というサービスをネット展開しているようです。」

社長「だから何だというんだ。当社は、〇〇〇株式会社という社名で登記済みだろ?○○〇は登記済みの会社名からとっているから問題ないのではないか?」

専務「私もよくわからないんです。ですが、警告状には、「商標権」を侵害していると書いてあるんです。」

社長「なんだ、その「商標権」というものは?」

専務「社長、覚えていませんか?当社を登記する時に商標権の調査をしたことを。」

専務「でも、おかしいですね?確かあの時、当社の社名と同じような社名が登録商標になっていないことを確認したんですが・・・」

社長「お前、あの時の調査で洩れがったんじゃないのか?」

専務「息子にまた調べてもらいます。」

翌日

専務「社長、◎〇〇という△△△株式会社の登録商標が見つかりました。」

社長「なんだと、前は見つからなかったのに今回は見つかったというのか?」

専務「そうなんです。よく見たところそれの登録日が昨年になっているんです。」

社長「ということは、当社がスタートした後で◎〇〇が△△△株式会社の登録商標になったということか?」

専務「そういうことになります。」

社長「しかし、うちが先に『〇〇〇株式会社』という会社名を使っているわけだろ。○○〇は登記済みの自社の会社名からとっているんだろ。」

専務「そうなんですが、事実として◎〇〇が△△△株式会社の登録商標になっています。」

社長「そんなことがあっていいのか?しかも、△△△株式会社が当社に〇〇〇を使うなといっているんだろ。向こうのやっていることが違法なんじゃないのか?」

専務「そうかもしれないですね。もうお手上げですので、特許事務所に行って相談をしましょう。」

社長「俺が行くが、お前もついて来い。」

特許事務所に相談へ行ってみた

弁理士「ようこそお越しくださいました。」

社長「いやー。今まで特許事務所というものは知っていたが、こんなことで特許事務所に訪問することになるとは予想外のことだよ。」

弁理士「こんなことでと申しますと、どんなご相談なんでしょうか?」

社長<警告状を鞄から取り出して>「いきなりこんな物騒な書類がうちに来たんだよ。」

弁理士「あっ、警告状ですね。ちょっと拝見させていただけますか。これは珍しいものではありません。我々の世界では誰でも知っているものです。」

社長「おぉ、じゃあ、お任せできるということだね。」

弁理士「はい、お任せください。」

弁理士が警告状の内容を確認

弁理士「脅しのように聞こえてしまうかもしれませんが、この警告状に書いてある通り、簡単にいうと御社の〇〇〇が△△△株式会社のサービス名である◎〇〇に似ているので御社は、〇〇〇の使用に関して注意してくださいというのです。

また、商標法第26条には、

第二十六条 商標権の効力は、次に掲げる商標(他の商標の一部となつているものを含む。)には、及ばない。
一 自己の肖像又は自己の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を普通に用いられる方法で表示する商標

という例外規定があります。

従いまして、「〇〇〇株式会社」という文字列そのものを普通に書類や名刺に使うことは良いのですが、例えば、〇〇〇の部分だけを抽出して用いたり、株式会社を付けても〇〇〇の部分を目立つように用いると、それは、△△△株式会社の登録商標◎〇〇の侵害となってしまいます。
何かしらの方法により〇〇〇株式会社全体を普通にではなく商標的に用いることも侵害となってしまいます。」

社長「では、社名を変更する必要はないことになるかな?」

弁理士「はい、そういうことになります。
ところで、御社にて使用している取引書類、名刺、パンフレットを拝見させていただけますか?それから御社の製品の外観がわかるような写真なども拝見させていただけますか?」

社長(専務に)「用意してくれ!」

専務「畏まりました。」

(数十分後)

専務「持って参りました。ご覧ください。」

弁理士「はい、では、拝見させていただきます。」

弁理士が取引書類などを調べる

社長「どうですか?さっき弁理士さんが言っていた〇〇〇の部分だけを抽出したものがご覧のように製品につけてあるんだが・・・」

弁理士「確かにそうですね。それから、パンフレットにもありますね。」

社長「じゃあ、どうすりゃいいんですか?」

弁理士「一言でいうと、これらを削除することです。
しかし、製品から〇〇〇がなくなったり、取引書類から〇〇〇が無くなってしまったら、御社の製品であることがわかり辛くなってしまいますね。
また、御社の製品を掲載したパンフレットであるのに、御社の製品であることが分からなくなってしまいますね。」

社長「重ねて聞くが、じゃあ、どうすりゃいいんですか?どうしようもないのかね?」

弁理士「例えばですが、製品の名称を変更すれば、侵害を回避することができます。
その場合、会社名と製品名が異なってきてしまいますが・・・。
また、会社名を〇〇〇株式会社のままにしても、パンフレットに○○〇を使用することを差し控えなければなりません。」

社長「結構厳しいようだな。もっといい方法はないのか?」

弁理士「製品名の他に社名も変更すれば両者揃いますが、その場合、今まで御社の社名に積みあがってきた信用を需要者が目に見ることができなくなってしまいます。
さっきの提案とどちらが良いか・・・」

「あとは、△△△株式会社から◎〇〇に関する使用許諾を貰えればよいのですが。交渉の余地はあります。
しかし、相手が強硬ならば、差止請求のための裁判を起こされる可能性がありますし、相手が損害を被っているのであれば、損害賠償請求のための裁判を起こされる可能性もあります。
双方のための裁判を起こされる可能性もあります。」

専務「弁理士さん、まあ、納得できないものの、法律で決まっているならば、その部分はそれで仕方がないとしても、△△△株式会社が◎〇〇を登録商標にしたのは、弊社が〇○○の社名で登記をしたあとなんですよ!

後から他社が取得した登録商標と同じようなものを使うなといわれても到底納得できないですよ。」

弁理士「おっしゃることももっともです。しかし、基本的にはそうなってしまうんです。」

社長「おれにわかるように説明してくれないかね?嘘やごまかしもきかないぞ!」

弁理士「はい、ご説明いたします。

おそらくは、疑問に思っている点が2つあると思います。

一つは、既に御社が○○〇株式会社という名前を使っているのに◎○○が登録商標になってしまったという点でしょう。

もう一つは、御社が前から〇○○を使っているのに後から登録された◎〇〇に似ているので使うなといわれている点でしょう。

まず、一つ目の疑問についてですが、もしも、貴社が設立当時から〇〇〇を貴社の登録商標にしていたのであれば、△△△株式会社は、◎〇〇を登録商標にすることはできませんでした。また、貴社が設立当時から〇〇〇を貴社の登録商標していなくても、△△△株式会社が出願した◎〇〇についての審査を特許庁がしていた頃に貴社の〇○○が貴社の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたのであれば、△△△株式会社は◎〇〇を登録商標にすることはできませんでした。しかし、何れにも該当しなかったために、△△△株式会社は◎〇〇を登録商標にすることができてしまいました。

次に、二つ目の疑問についてですが、もしも、貴社が△△△株式会社の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなく貴社の業務に係る商品又は役務について〇〇〇の使用をしていた結果、△△△株式会社の商標登録出願の際現にその〇○○が貴社の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていて、貴社が、継続してその商品又は役務について〇○○の使用をするならば、貴社は、△△△株式会社の登録商標である◎〇〇があっても、〇〇〇を使うことができます。しかし、それに該当しなければ、貴社は〇〇〇をつかうことはできません。

社長「どうして、会社設立の時から言ってくれなかったんだ!!!」

弁理士「そればかりは・・・。もっと早くお知り合いになっていればよかったのですが・・・。
それを未然に防ぐのが弁理士の責務でもあるのですが・・・。
私は、会社設立にかかわる司法書士さん、行政書士さんとネットワークを組んでいます。
いざというときなどのために弁護士さん、税理士さん、資金調達の達人ともネットワークを組んでいます。
新しい商標をデザインできるデザイナともネットワークを組んでいます。」

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